宮崎県の綾町には、60 年前から米麹(こめこうじ)をつくっている麹屋さんがあります。
えそらハンドメイドでは、その米麹から「こうじ水」をつくり、石鹸に練りこんだ「こうじ石鹸」をつくっています。
今回は「こうじ水」のつくりかたと、こうじの肌への効果のヒミツを紹介します。
こうじ水のもとになる米麹とは
こうじ水の作り方はとても簡単で、米麹を水にといたものを濾過してつくっています。
米麹とは、こうじ菌をご飯にまぶして増殖させたものです。
麦をつかって増殖させたものが「麦麹(むぎこうじ)」、大豆をつかって増殖させたものが「豆麹(まめこうじ)」になり、味噌や醤油など用途に合わせて使い分けられます。
こうじ菌の正式名称は「ニホンコウジカビ」といってカビの仲間です。
カビと聞くと体に悪いものと思うかもしれませんが、コウジカビ(こうじ菌)は毒性のあるものを出さないため、昔からお酒や味噌など様々な発酵食品に利用されてきました。
日本の食文化に欠かせない菌として、2006 年に「国菌」として認定されています。
では、こうじ菌のどのような作用を発酵食品に利用しているのでしょうか。
こうじ菌も生きるために栄養を摂らなければなりません。
その栄養とは人間と同じグルコースやアミノ酸ですが、お米や大豆の状態ではデンプンやタンパク質などその分子が大きい状態で、体の小さなこうじ菌は摂取することができません。
そこで、こうじ菌はデンプンやタンパク質を分解する酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)を産生してグルコースやアミノ酸の状態にまで分解し小さくして栄養として摂取しています。
お酒や味噌はこのこうじ菌が産生する酵素のちからを利用して作られているんですね。
こうじ菌の肌への効果 科学的エビデンス
お酒をつくる杜氏の手はスベスベなど、こうじ菌に関わる人の肌が綺麗だということを聞いたことがあるかもしれません。
最近の研究では、こうじ菌が肌を綺麗にするメカニズムがわかってきています。
メラニン合成の抑制
発酵時にこうじ菌が産生する「こうじ酸」が、メラニンの生成に関わるチロシナーゼの活動を抑制するはたらきがあることがわかっています1)。
シミを薄くするなど肌を白くする効果が期待されます。
セラミド産生増加
米麹に含まれる成分がセラミド合成酵素(βグルコセレブロシダーゼ)を活性化し、角質層でのセラミド量を増やすことが明らかになりました2)。
肌の水分量を保ち、乾燥による肌荒れから肌を守る効果が期待されます。
米麹にはこうじ菌が産生した様々な成分が含まれていて、それらが肌を美しくする可能性がありそうですね。
米麹からこうじ水をつくり、自作の化粧水にしてみてもいいかもしれませんね!
こうじ水のつくりかた
こうじ水は化粧水としても使えますし飲むこともできます。
もちろん残った麹も食べることができます。
含まれる酵素などにより消化が促進され整腸作用が期待できるそうです。
アミラーゼやプロテアーゼなどヒトの消化酵素と同じものが含まれているのですから、消化促進効果への期待は高まりますね。
防腐剤は入っていないので、飲食用はその日のうちに、化粧水としても 2,3 日で使い切るのがおすすめです。
安全安心で様々な効果がある「こうじ水」ですが、ただ一つ難点があります。
それは少し生臭いということです。
初めは使いにくいかもしれませんが慣れてくるとそれほど気にならなくなります。
その匂いも有効成分の香りと思うと愛おしく感じるのではないでしょうか。
【参考文献】
- コウジ酸のメラニン生成抑制作用と各種色素沈着症に対する治療効果(1994)
- ヒト表皮角化細胞においてβグルコセレブロシダーゼ レベルを増加させる米糀中の成分の同定(2018)