「人と自然が共生する新しい生活文化の担い手になる。」
そんな理念を掲げる私たちえそらフォレストが、活動の拠点として選んだのが宮崎県の中央部にある綾町です。
綾町は日本最大級の「照葉樹の森」が息づく自然豊かな町で、町の 8 割を森林が占めています。
この森には一年中緑色の葉をつけているツバキやクス、シイ、カシなどの常緑広葉樹が多く自生しています。
これらの樹木は、葉が硬く艶があり太陽の光に反射してキラキラと葉が照っているように見えることから、「照葉樹」と呼ばれます。
かつては照葉樹の森は西日本の大部分を覆っていましたが、戦後の高度経済成長に伴う伐採開発により、今ではかつての分布面積のわずか 3 % しか残っていません1)。
綾町には約 2,000 ha に及ぶ日本最大級の照葉樹の森が今も息づいているのですが、この森は運良く開発の手から逃れられたわけではありません2)。
綾町が「自然との共生」の道を選び、この豊かな森を守ってきたのです。
50年先を見据えた「自然との共生」の道、それは決してたやすいものではありませんでした。
それでも当時の町長をはじめ綾に住む人達は、この豊かな森を守り次世代に残すことが未来につながると考え、自然を犠牲にする開発・伐採を止め、自然と共生することを選んだのです。
また農業においても、30 年前から自然の摂理を尊重した農業「自然生態系農業」を推進し、今では有機農業が盛んな町として有名になりました。
そして、この照葉樹林を守る活動や自然生態系農業の取り組みにより、2012 年には「自然と人間社会の共生」を目指す地域「ユネスコエコパーク」に認定されました。
この豊かな自然や自然と共生してきた町の人たちの経験、智恵に学びながら、私たちの研究工房では自然と共に生きる Natural × Traditional × Sustainable をキーワードとした探求を行っています。
参考文献
- 日本の照葉樹林の現状(2010)
- 綾町の自然保護と照葉樹林プロジェクト(2010)