孤独な経営者を癒す「豊かな孤独」について 文/くらげさん
森林に親しむといえばまずはキャンプなどが思い浮かぶだろう。テントを張って、かまどを使って飯ごうでご飯を炊く。都会の喧噪から離れて静かに森のざわめきに耳を傾ける。これはとてもよいものだ。
しかし、この手のキャンプ場は既に人間の手が深く入ったものだ。水道が引かれ、トイレが設置され、平たく均されて駐車場も完備している。「自然のまま」とは言い難いところもあるだろう。安全に自然と親しむにはここまでしなくてはならないのだ。
ところで、ブッシュクラフトという言葉をご存じだろうか。茂み(Bush)で工作(Craft)するという意味だが、転じてナイフ一や釣り糸、メタルマッチや簡易浄水器などの最低限のツールだけで森林や山に入りサバイバルをする遊びだ。
当然、危険である。どんな動物や毒のある生物と出くわすかわからない。天気が急変して濡れてしまうかもしれない。食糧が手に入るかもわからず、道に迷って遭難してしまうかもしれない。そういうむき出しな危険な「自然」に身一つ・ナイフ一つで挑むことはこの「安全な社会」で暮らす私たちにとって「無謀」とも思えることだ。だが、ブッシュクラフトは近年北欧を中心に世界中で人気が高まっているそうだ。それも経営者や社会的地位の高い人がこぞって参加しているという。
なぜ経営者がブッシュクラフトに惹かれるのかを明確に書いたテキストは見つからなかったが、彼らは他者の責任を背負いすぎるからなのではないかと私は思うのだ。経営者は一つ一つの決定が、一挙一動がダイレクトに業績に響く。その業績は社員や取引先・ステータスホルダーに人生に常に影響している。よい経営者ほど「責任」が増していく。そして自由を失っていく。
経営者は孤独だという。常に人とコミュニケーションをとっている。それでも心は孤独なのだ。なぜなら決定とは常に一人の頭、一人の孤独の中で行われるからだ。決定を常に求められる経営者は「どす黒い孤独」を背負うことが仕事なのだ。
しかし、一人森の中に入ればどうだろう。その時間、携帯から連絡が来ない。誰の目もない。自分の責任は自分だけのものだ。肉体としての等身大の自分に立ち返る緊張感。これは肥大した「社会」では忘れ去られたもの。森の中を走り、茂みをかぎ分けて前に進む。せせらぎを聞きながら手で水を飲む。ナイフで木を刻み火をつけて一人星空を眺める。そこにあるのは「豊かな孤独」だ。
数万年の人間が感じていたものと同じ孤独。森に包み込まれた孤独。孤独を癒す孤独。自分と向き合う孤独。いま、ここに生きている孤独。
人類はいまさら自然と一体化して生きるのは無理だ。しかし、このような「豊かな孤独」は疲れ果てた経営者にこそ必要なのではないだろうか。
森は待っている。あなたの帰りを待っている。静かに静かに待っている。
くらげさんプロフィール
耳の悪いADHDのうざいオッサン。普段はただのリーマン。時々作家・ライター。
著書:ボクの彼女は発達障害 (ヒューマンケアブックス)
https://www.amazon.co.jp/dp/4054057063/
自然と共生する新しい生活文化の担い手となる 。
≪Corporate Identity≫
えそらフォレストのロゴマークは私たちの住む地球の生態系をひとつの森として表現しています。
会社名
えそらフォレスト株式会社
設立
2010年11月24日
福岡オフィス(本社)
〒810-0004
福岡県福岡市中央区渡辺通3-6-15
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